浪江町で営農の再開についてのアンケートを取ったところ、営農したいと答えた農家はわずか1割でした。
農地が放棄されてふるさとの田畑が荒れ地になる事をえごまで防ぎたい。ふるさとの豊かな実りを取り戻そうとする石井さんの挑戦のきっかけは亡くなった馬場前町長のことば。自宅が帰還困難区域にあり帰れない石井さんに対して「だけれど一緒に帰るんだよ、みんなで一緒に町を復興していこうね」。その気持ちに心動かされた石井さん。除染の済んだ浪江の田んぼを借りて、えごまの栽培を始めました。除染は肥沃な表土を剥ぎ取ります。そのため地力が失われます。そうした痩せた土地でも強く、手間もかからないえごま栽培なら広い面積で栽培できる。そして収穫した後は葉っぱや殻を全部、この田んぼの土に戻そう。そうして将来につなげたい。5、6年後には、この土地を良くして、何とかいい田んぼにしていければと思って始めたえごま栽培です。未来の若い人達のために、豊かな農地を残す。石井さんが託す未来へのバトン。その歩みのプロセスで生まれた希望のえごま油です。